子育てで「うまくいかない」と落ち込む前に 完璧主義から抜け出す「失敗」との付き合い方
子育ては、予測できないことの連続です。一生懸命に取り組んでいるのに、「思い通りにいかない」「なぜかうまくいかない」と感じ、深く落ち込んだり、自分を責めてしまったりすることはないでしょうか。こうした感情の背景には、「完璧な母親でなければならない」という完璧主義の考え方が潜んでいることがあります。
完璧主義は、時に目標達成の原動力にもなりますが、子育てにおいては、あなた自身を苦しめ、息苦しさを感じさせてしまう原因になることも少なくありません。「うまくいかないこと」を「失敗」と捉え、そのたびに自分を責めてしまう状態から抜け出し、子育てをもっと楽に、そして前向きに楽しむためには、「失敗」との向き合い方を変えることが大切です。
なぜ子育ての「うまくいかない」はつらいのか?完璧主義との関係
子育てにおける「うまくいかない」ことへの過剰な反応は、完璧主義と深く結びついています。完璧主義の人は、「すべてを完璧にこなさなければならない」「こうあるべきだ」という強い信念を持っています。そのため、現実がその理想から少しでも外れると、「失敗だ」と認識し、自分自身の能力や価値を否定してしまう傾向があります。
- 「べき思考」の強さ: 「子供はいつも笑顔であるべき」「家事は完璧であるべき」「私は常に冷静であるべき」といった「べき」にとらわれると、少しでも現実が異なれば、それは「失敗」と映ります。
- 自分自身への厳しい評価: 完璧主義は、自分自身に対する評価基準が非常に高くなりがちです。「うまくいかない」ことがあると、「自分が至らないからだ」「もっと頑張らなければ」と、自己否定につながりやすくなります。
- 休息や助けを求めることへの抵抗: 「完璧であるべき」という考えは、「弱みを見せてはいけない」「一人でやり遂げなければならない」というプレッシャーにもつながります。結果として、疲れていても無理をしたり、周囲に助けを求めることをためらったりしてしまいます。
子育てにおいて「うまくいかないこと」は、成長の過程であり、学びの機会でもあります。しかし、完璧主義にとらわれていると、それをただの「失敗」として捉え、自分を追い詰める材料にしてしまうのです。
「失敗」を味方につける 子育て完璧主義から抜け出す考え方
「うまくいかないこと」を「失敗」と決めつけ、自分を責めるループから抜け出すためには、「失敗」に対する考え方そのものを変える必要があります。
1. 「失敗」を「学び」と捉え直す
子育てにおける「うまくいかない」は、あなたがダメだから起こることではありません。それは、子供が成長している証拠であり、新しい状況に対応するための「学び」の機会です。「こうしたらうまくいかなかった、次はこうしてみよう」と考えることは、問題解決能力を育むプロセスです。自分を責めるエネルギーを、「どうすれば次はうまくいくかな?」と建設的に考えることに使いましょう。
2. 完璧ではなく「十分」を目指す
完璧主義を手放し、「十分」を目指す視点を取り入れましょう。例えば、「毎日栄養バランスの取れた完璧な食事を作る」のではなく、「今日は冷凍食品に頼ったけど、明日は野菜を多めにしよう」と考える。子供が少し泣いても、「常に笑顔でいさせるべき」ではなく、「泣くのは当たり前。どうすれば少しでも落ち着けるかな?」と考える。
「十分」は決して「手抜き」ではありません。それは、限られた時間や体力の中で、最善を尽くすという現実的な目標設定です。「これで十分」と思える基準を持つことで、心の負担が格段に軽くなります。
3. 小さな成功や「できたこと」に目を向ける
「うまくいかないこと」ばかりに目を向けるのではなく、その中でも「うまくいったこと」「できたこと」に意識的に目を向けましょう。
- 今日は子供を時間通りに寝かせることができた
- 怒鳴らずに冷静に対応できた瞬間があった
- 完璧ではなかったけれど、部屋が片付いた
- 自分自身に休息を与える時間を持てた
どんなに小さなことでも構いません。リストアップしてみるのも良いでしょう。自分自身の頑張りや成長を認め、自己肯定感を高めることが、完璧主義を手放す一歩になります。
子育ての「うまくいかない」を乗り越えるための具体的な行動
考え方を変えることに加えて、具体的な行動を取り入れることも有効です。
1. タスクの優先順位を見直す
すべてを完璧にこなす時間はありません。今日のタスクの中で、本当に重要なことは何か、やらなくても大丈夫なことは何かを冷静に見極めましょう。子供との時間、休息、最低限必要な家事など、優先順位をつけて、「完璧にできなくてもよし」とする項目を作りましょう。
2. 「まぁ、いいか」の基準を設ける
自分の中で、「これくらいならOK」という「まぁ、いいか」の基準を持つことが大切です。例えば、洗濯物を畳むのは後回しでもいい、夕食は品数が少なくてもいい、部屋が多少散らかっていても気にしない、など。この基準は、あなたの心の余裕を生み出します。
3. 休息を意識的に取る
疲れていると、心に余裕がなくなり、些細な「うまくいかないこと」にも過剰に反応してしまいがちです。意識的に休息を取り、心と体をリフレッシュさせましょう。短い時間でも、好きなことをする、何も考えずにぼーっとする、といった時間を確保することが重要です。
4. パートナーや周囲の協力を得る
「一人で完璧にやらなければ」という考えを手放し、パートナーや家族、地域のサポートなど、周囲に協力を求める勇気を持ちましょう。家事や育児の一部を分担したり、話を聞いてもらったりするだけでも、負担は軽減されます。完璧主義の人は助けを求めるのが苦手な傾向がありますが、あなたが楽になることは、結果として家族全員の幸せにつながります。
5. 自分を責める言葉を客観的に見てみる
「私はダメな母親だ」「なぜこんなこともできないんだ」といった自分を責める言葉が浮かんできたら、それは事実なのか、単なる感情なのかを少し立ち止まって考えてみましょう。そして、「ダメな母親」なのではなく、「今日は少し疲れているだけかもしれない」「次に活かせる経験を得た」のように、言葉を置き換える練習をしてみてください。
完璧主義を手放し、子育てをあなたらしく楽しむ
子育てにおける「うまくいかないこと」は、あなたが完璧ではない証拠ではなく、あなたが人間であり、子供と共に成長している証です。完璧主義を手放し、「失敗」を恐れずに受け入れることができれば、自分自身を責めることから解放され、子育ての楽しさや子供の成長を、もっと素直に感じられるようになるはずです。
あなた自身の心と体を大切にしながら、「まぁ、いいか」の気持ちで、「十分」な子育てを目指してください。完璧ではなくても、愛情は十分に伝わっています。あなたらしいペースで、子育てを楽しんでいただけたら嬉しく思います。