子育て中のやることリストがこなせないと自分を責めるあなたへ 完璧主義から抜け出す方法
はじめに:やることリストがあなたを苦しめていませんか?
日々の子育てや家事、仕事に追われる中で、多くの方が「やることリスト(To Doリスト)」を活用されていることと思います。今日中に終わらせたいタスク、今週中に片付けたい用事。リストアップすることで、頭の中が整理され、計画的に物事を進められるように感じられます。
しかし、そのリストが完璧にこなせないとき、あなたは自分を責めてしまうことはありませんか。「今日もこれだけしかできなかった」「他の人はもっとうまくやっているはずなのに」。リストの未完了項目を見るたび、焦りや罪悪感を感じ、自分はダメな母親だと落ち込んでしまうこともあるかもしれません。
もし、やることリストがあなたを追い詰める原因の一つになっていると感じるなら、それは子育てにおける完璧主義が影響している可能性が考えられます。この記事では、やることリストと完璧主義の関係性、そしてリストに縛られず、自分を責めることから解放されるための具体的な方法について解説します。
なぜ、やることリストが完璧主義と結びつきやすいのか?
完璧主義の傾向がある方にとって、やることリストは時に自分を追い詰める道具となってしまうことがあります。その背景にはいくつかの理由が考えられます。
1. 全てのタスクを完璧にこなそうとする「ゼロかイチか」思考
リストに書き出した項目は、全てを完全にやり遂げるべきものだと捉えてしまう傾向があります。一つでも未完了のものがあると、「今日のタスクは達成できなかった」と評価し、ゼロかイチかのような極端な思考に陥りがちです。
2. 理想的な一日の計画と現実のギャップ
子育て中の毎日は予測不能な出来事の連続です。子どもの急な体調不良、予期せぬ家事、思い通りに進まないスケジュール。完璧主義的な思考で立てた理想的なリストは、こうした現実の変化に対応しきれず、未完了のタスクが積み重なりやすくなります。
3. リストの未完了=自分の能力不足という自己評価
リストがこなせないことを、自分の計画性のなさや能力不足と結びつけて考えてしまいがちです。「完璧にこなせない自分はダメだ」という自己評価につながり、自分を責める気持ちが強まります。
4. 「あれもこれもやらなければ」という過剰な責任感の可視化
リストを作成することで、「やらなければならないこと」が視覚的に明らかになります。完璧主義の傾向が強い場合、重要度や優先順位を考慮せず、あらゆることをリストアップしてしまい、その量の多さに圧倒され、プレッシャーを感じやすくなります。
やることリストを「自分を責める道具」から「心強いサポートツール」に変える方法
やることリストそのものが悪いわけではありません。大切なのは、リストとの付き合い方、そしてリストから生まれる感情への向き合い方です。以下に、完璧主義を手放し、やることリストを前向きに活用するための具体的な方法をいくつかご紹介します。
1. リストの「完璧な完了」を手放す考え方
- 「できたら良いな」リストと「必ずやる」リストに分ける: 全ての項目を同列に扱わず、今日絶対に必要なことと、時間に余裕があればやりたいことに区別をつけます。
- 優先順位を柔軟に見直す: 一度立てたリストに固執せず、その日の状況や子どもの様子に合わせて、タスクの優先順位を柔軟に変更する許可を自分に与えます。
- 「完了」の定義を緩める: 全てを100%完璧に行う必要はありません。例えば、「書類を完璧に整理する」ではなく「とりあえずテーブルの上から移動させる」、「部屋を完璧に片付ける」ではなく「目につくところだけ整える」など、7割程度の完了でも良しとする基準を設定します。
2. リストに「休息」と「自分を満たす時間」を含める
やることリストは家事や育児のタスクだけになりがちですが、意識的に「休憩する」「好きな飲み物を飲む」「子どもとゆったり絵本を読む」といった、心身を休めたり自分を満たしたりする時間をリストに加えます。これらは決して「手抜き」ではなく、健全な毎日を送るために必要な「タスク」です。
3. リストは「目標」ではなく「目安」だと捉え直す
リストは「これだけ頑張らなければならない」というノルマではなく、「今日の目安」「こんなことができたら嬉しいな」という程度のものだと考えます。リストをこなすこと自体が目的ではなく、日々の生活を少しでも円滑に進めるためのツールだと意識します。
4. 「できたこと」に焦点を当てる習慣をつける
リストの未完了項目ばかりに目を向けるのではなく、今日「できたこと」に意識的に目を向けます。リストにあるタスクだけでなく、「子どもを笑顔にできた」「自分自身を責めずにいられた時間があった」など、些細なことでも構いません。寝る前に「今日の達成リスト」を心の中で唱えたり、書き出したりするのも効果的です。
5. リストをパートナーや家族と共有する
一人で全てを抱え込まず、パートナーや家族と「今日やれたら良いこと」を共有し、協力をお願いします。リスト作成の段階から一緒に話し合うことで、お互いの状況を理解し、現実的なタスク分担につながることもあります。リストは一人で抱える責任のリストではなく、チームで共有する情報だと考え方を変えてみましょう。
自分を責める思考パターンに気づき、手放す
やることリストがこなせないときに自分を責めてしまうのは、「完璧でなければ価値がない」「やるべきことを全てこなすのが良い母親だ」といった完璧主義的な思考パターンが根底にあるからです。こうした思考に気づき、手放していくことも重要です。
- 思考を客観視する: 「やることが終わらなかった。私はダメな母親だ」と思ったとき、「あっ、今、自分を責めているな」「完璧でなければダメだと思っているな」と、自分の思考パターンに気づくだけでも効果があります。
- 「べき思考」を緩める: 「~すべき」「~ねばならない」という考え方を、「~できたら良いな」「~という選択肢もある」のように緩めてみます。
- 不完全さを受け入れる: 完璧でない自分や、思い通りにならない状況を否定せず、「今はこういう状況なんだな」「完璧でなくても大丈夫」と、ありのままを受け入れる練習をします。
まとめ:完璧でなくても、あなたの頑張りは素晴らしい
子育て中のやることリストは、うまく活用すれば日々の助けとなります。しかし、もしそれがあなたを苦しめ、自分を責める原因になっているなら、それはリストのあり方や、完璧主義的な思考を見直すサインかもしれません。
リストの「完璧な完了」を手放し、休息や自分を満たす時間もリストに含めること。リストを「目標」ではなく「目安」と捉え直し、「できたこと」に目を向けること。そして、自分を責める思考パターンに気づき、緩めていくこと。
これらのステップは、すぐに完璧にできるようになるものではありません。時にはリストが全くこなせない日も、自分を責めてしまう日もあるでしょう。そんな日があっても大丈夫です。あなたは、毎日、子育てという大変な仕事に向き合い、たくさんのことを成し遂げています。その頑張りは、リストの完了度とは関係なく、それ自体が素晴らしいことです。
完璧主義を手放し、やることリストとのより良い関係を築くことで、自分自身への評価が変わり、心の余裕を取り戻せるはずです。焦らず、一つずつ、あなたにとって心地よいペースで試してみてください。完璧を目指すのではなく、「これで十分だ」と思える日を増やしていきましょう。